EF16-35mm F2.8L III USM
EF16-35mm F2.8L III USM
この記事の写真をすべて見る

画質が大きく改善した大口径広角ズーム

 3度目の正直。キヤノンには失礼かもしれないけれど、あえて言わせていただければ本レンズにはそうした印象を持った。初代EF16-35mm F2.8LUSM(2001年)とそのII型(07年)、EF17-4mm F4L USM(03年)、EF16-3mmF4L IS USM(14年)と使ってきた筆者としては、II型の周辺画質では物足りなかったというのが正直なところだ。大口径の超広角ズームを高性能化するのは相当な苦労が伴うという。III型は、これを地道に改良したキヤノンの真面目な姿勢を評価したい製品である。

 レンズ構成は11群16枚。研削非球面レンズ1枚と大口径のガラスモールド両面非球面レンズが2枚、UDガラス2枚採用。周辺域の画質の改善による画面の均質性は魅力的。先に登場した弩ど級きゅうの超広角ズームレンズEF 11-24mm F4L USM( 15 年)の性能からして、焦点距離や開放F値は違っても同じ広角ズームレンズとして16.3ミリF2.8のII型の周辺域の描写改良は必然と思えた。このIII型はキヤノンの16.35ミリズームに対する最終回答だとみてよい。手ブレ補正内蔵の16-35mm F4Lとどちらを選ぶか悩ましいが、開放F2.8であることの必然を感じられるレンズだ。

ローアングルでの撮影。カメラを水平に保持すれば素直な描写になる。高いコントラストとシャープネスだ。歪曲収差などはカメラ内で補正処理されるが、さらに完璧さを追求するならRAWファイルからDPPのデジタルレンズオプティマイザを利用するといい●16ミリ時・EOS 5D MarkIV・AE(絞りf8・640分の1秒・-1補正)・ISO400・AW
<br />B・RAW
ローアングルでの撮影。カメラを水平に保持すれば素直な描写になる。高いコントラストとシャープネスだ。歪曲収差などはカメラ内で補正処理されるが、さらに完璧さを追求するならRAWファイルからDPPのデジタルレンズオプティマイザを利用するといい●16ミリ時・EOS 5D MarkIV・AE(絞りf8・640分の1秒・-1補正)・ISO400・AW
B・RAW

デザイン
II型と比べて、やや太くなった印象の鏡胴だが、高級感が増したのはよい。フードにロック機構が採用され、位置がズレる心配がなくなった

使用感・操作感
フォーカスリングのローレットを他のLレンズと統一感を持たせ操作性も向上。MF時のトルク感もいい。当然の防塵・防滴構造で屋外撮影でも有利だ

描写性
ヌケのよい描写で画質の均質性が高い。同じ16~35ミリでもF4には手ブレ補正機構(IS)があるものの、このIII型を使うとF2.8の大口径はやはり必要だと思える

◆赤城耕一

●焦点距離・F値:16~35ミリ・F4●レンズ構成:11群16枚(非球面レンズ3枚、UDガラス2枚)●最短撮影距離:0.28メートル●最大撮影倍率:0.25倍(35ミリ時)●画角:108°10'~63°●フィルター径:φ82ミリ●大きさ・重さ:約88.5×127.5ミリ、約790グラム●価格:税別29万9000円(実売28万7000円)●URL:http://canon.jp/