
大谷選手の子育て体験談を期待
かつて視察した北欧では、「子どもに接することで人生を豊かにする権利を男性も享受すべきだ」という考えに出合いました。裏を返せば、「女性に育児負担が偏っているということは、女性が活躍する権利を奪っている」ということでもあります。
この議論が画期的だと感じたのは、「育児負担を誰に押し付けるのか」ではなく、男女ともに失われている権利を回復していくといった前向きな考えのもとで政策を進めていたこと。そんな北欧の姿は新鮮に映り、まさに目から鱗が落ちる思いでした。
また、企業のトップや自治体の首長といった影響力のある人が、育児に積極的に関わる姿を見せることも重要です。日本で最も影響力を持つ大谷翔平選手の「父親リスト入り」は、まさに育児参加への空気感を大きく変えたと思います。
本業は野球選手だということは承知のうえで欲を申し上げれば、子育てを通して人生観がどう変わったのかなどお話しいただけたら、なんて期待してしまいます。もちろんパーソナルなことですし、お話いただけることも限られると思います。でもきっとその体験談は、「大谷選手もやっているのだから」と他の男性の育児参加の後押しになるはずですから。
(構成 AERA編集部・福井しほ)