おぐら・まさのぶ/1981年生まれ、東京都出身。日本銀行を経て政界入り。2012年の衆院選で初当選。こども家庭庁の初代大臣を務めた(photo 本人提供)
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ドジャース大谷翔平選手(30)が女児誕生の際に「父親リスト」入りしたことが話題だ。こども家庭庁初代大臣として「異次元の少子化対策」に取り組んできた元衆院議員の小倉将信さん(44)は何を想うのか。話を聞いた。

【写真】【大谷翔平”父親リスト”のインパクト】復帰後の打席で魅せる

夫が家事・育児をするほど第2子以降が誕生

 2022年夏に入閣し、内閣府特命担当大臣として少子化問題に取り組みました。そのなかの最重要項目の一つとして掲げたのが、男性の育休取得です。

 厚生労働省の調査では、夫が家事・育児をする時間が長いほど第2子以降の生まれる割合が高くなる傾向があることがわかっています。少子化を食い止めるには男性の育児参加が不可欠。身体的・精神的負担が母親だけに偏ったままでは、「異次元の少子化対策」は実現しません。

育休を取りやすい環境づくりを

 日本で男性育休が進まない背景には、「収入」と「環境」の二つの問題があります。

 男女の賃金差がまだ残っている日本では、男性が育休を取ると世帯所得が大きく減ってしまいます。経済面の不安を解消するために、23年には両親がともに14日以上育休を取得した場合の手取り収入が実質的に10割になる案を提出。今年4月に出産後休業支援給付金が創設され、最大で28日間支給されるようになりました。

 制度の充実とともに整えなければいけないのが、育休を取りやすい環境作りです。23年度には、男性の育休取得率が初めて3割を超え、少しずつ変化は起きています。一方で、周りに迷惑をかけるのではないかという無言の圧力を感じて取得できていない人もまだ多く存在していて、単なる「定義」にとどまっているのが現状です。

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