現在の「東糀谷六丁目アパート」の様子。公園は潰され、老朽化した棟を建て替え中だ(撮影/小山幸佑)
現在の「東糀谷六丁目アパート」の様子。公園は潰され、老朽化した棟を建て替え中だ(撮影/小山幸佑)

■自分の生活すら不安

 本誌は3月下旬、ウェブ上で「少子化」に関するアンケートを実施した。「あなたが考える少子化の理由は?」の問いに、将来への不安や経済的な理由を挙げる声が目立った。

 第一生命経済研究所主任エコノミストの星野卓也さんは、想定外のスピードで少子化が進んでいる要因として「経済的問題が大きい」と指摘する。

「特に20代、30代の低・中所得層が子どもを持たないという選択をしてきています」

 厚労省の国民生活基礎調査(21年)によれば、20~30代の世帯で子どもがいる割合は、高所得層(年収600万~1千万円未満)は7割を超えたが、低所得層(同300万円未満)は約2割、中所得層(同300万~600万円未満)は約4割にとどまった。さらに、子どもを持つ世帯の割合を21年と、00年、10年とで比較すると、高所得層は大きな変化はなかったが、低所得層と中所得層は1~2割低下した。

「年金など老後資金への不安も高まり、自分たちの生活すら不安な中で、『子どもは贅沢(ぜいたく)』と感じ、より子どもを持たない選択をする人が増えていると考えられます」(星野さん)

 出生数が減り続ける一方、死者数も増え続けている。22年の死者数は、過去最多の約158万人。死者数から出生数を引いた「自然減」は、過去最大の約78万人。少子高齢化による人口減少の進行を象徴する結果となった。(編集部・野村昌二)

AERA 2023年4月24日号より抜粋

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