人工授精や体外受精という選択肢

 冒頭の男性は、男性不妊外来を訪れた数カ月後、人工授精に進んだ。

 膣内射精障害の治療には時間を要するという点と夫婦の年齢を鑑みると、現時点では“妊娠するための最短ルート”を選んだほうが賢明という判断に行き着いたからだ。一定期間、人工授精を試し、妊娠しなければ体外受精に進もうと考えている。

 性交渉はうまくいかなくても、夫婦仲はいたって良好だ。「まあ仕方がないよね」「そんな人、実は周りにいっぱいいるんじゃない?」と、気楽に話せているという。男性が不妊外来を訪れたあとも、二人の関係性に深刻なダメージが出ることはなかったそうだ。

「日本人のセックスレスの傾向として面白いのが、セックスレスでも夫婦仲が極めて良好ということです」(同)

 性機能障害は男性のみにみられるものではなく、女性にも広がっているとされる。

(ライター・松岡かすみ)

[AERA最新号はこちら]