
――監督は「ミッドナイトスワン」で日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した内田英治だ。
三山:内田監督からは読み合わせの時に「作ってほしくないから自分が思った通りにセリフを言って」と言っていただきました。脚本を読んでイメージしていた良城と監督の良城のイメージが近かったので、すり合わせは早かったです。その頃、個人的にも色々考えるようなこともあって、読み合わせの時から自然と様々な感情が溢れてくるような状況でした。内田監督からは「良城はそれくらいのテンションでいいよ」と言われましたが、僕からしたらその状態はある意味つらかった。「もし僕が通常のテンションだったらどこまで落とすことが必要だったんだろう」と思いました(笑)。
直明と一体化していた
もちろんどんな時期にどんな役を演じることになったとしても、プロとしてアウトプットしなければいけないのが前提です。自分をちゃんとコントロールして芝居ができることが一番。冷静に自分のことを分析してその時の自分と役に振れ幅がある場合、スイッチを切り替えた上で役を演じればそれはそれで何かしらの発見があるはず。毎回ちゃんと試行錯誤することでより多くのことを発見できると思っています。
(ライター・小松香里)
※AERA 2025年2月17日号より抜粋