天気予報の「平年並み」はあてにならない
3月26日、気象庁と文部科学省は、日本の気候変動に関する報告書を発表した。気温の上昇幅が大きな場合、かつて日本では「100年に1回」程度だった猛暑をほぼ毎年経験することになるなどと、恐ろしい予測をした。だが、驚きはなかった。
報告書は、国や自治体の気候変動対策に役立ててもらうためのものだそうで、公表は2020年の初回以来、今年で2回目。政府は2050年までに日本全体で排出される温室効果ガスを実質ゼロにする、いわゆるカーボンニュートラルを目指すことを宣言し、取組んでいるが、すでに現在の日本の平均気温は、基準とした20世紀初めに比べて1.3度上がっている。
将来予測では、現在25日ほどとなっている年間の熱帯夜の数は約56日に倍増するという試算も示された。
極端な気象災害も多くなる。温暖化がなかった場合に「100年に1回」とされる高温は、ほぼ毎年起こることになるという。
つまり現在は、季節外れの高温や低温を表現する際に「○月並み」という言葉を使うが、100年に1回の記録が毎年更新されるようになると、この表現は使えなくなる。「平年」という指標が存在しなくなるからだ。
熱中症対策も、暑熱順化も、自然の暦に縛られず、人工的な環境下で工夫しなくてはならない時代が来ている。
(医療ジャーナリスト/コピーライター:木原 洋美)