作家・室井佑月さんは、一部のフェミニストたちに苦言を呈する。
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3月14日、性犯罪の被害者が「同意しない意思」を表明することなどを難しくさせた場合に加害者を処罰できる「不同意性交罪」を含む刑法の改正案が閣議決定された。
強制性交罪と準強制性交罪を統合して「不同意性交罪」と名称変更し、ここで「アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること」などが原因で「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態」で性交渉をすると罰せられる法案が審議されることになった。
私たちは酒を飲んでの性交まで禁止されることになりそうだ。これが20年前だったら、私は息子を産めなかった。照れ屋だから、素面(しらふ)でSEXなんて無理である。という大事なことは置いといて、あらゆる映画、あらゆる作品のそういったシーンも描き辛(づら)くなるに違いない。息苦しい。
私たち市民への縛りが、どんどん激しくなっていく。なぜ、こんなことになったのか。女性団体や被害者団体のロビー活動によって、現行の刑法では「著しく困難」であったものが、「困難」に変えられたからだ。
「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態」だと、あとからいくらでも「困難だった」といえ、事実上、お酒を飲んで性交渉することが不可能になりかねない(少なくとも恐ろしくてできない)という問題提起がされる。
こういうことを述べると、せっせとロビー活動をするようなフェミニストたちは、「私たちはそのようなことはいってない。それはデマだ」といってくる。ミソジニーだのアンフェだの、レッテルを貼って。
でも、私はデマをいってない。こんな法がまかり通れば、いつ訴えられるか怖くて、事実上、お酒を飲んで性行為はできなくなる。
それに私は、今までほかの法律では、「処罰範囲が曖昧(あいまい)だ」とか「広すぎる」といっていたフェミを信奉する左派系の人たちが、性犯罪だけものすごく曖昧で広すぎる法案を作り、それに賛同することに、矛盾を感じる。