
そこから結婚もし、離婚もし、出産もし、いろいろな経験をしてきたんですけど、自分の中で「舞台に立つことはそれくらい生半可なものではない」という意識は今も続いています。
妙な言い方になりますけど、舞台に上がることに対して武士道みたいな感覚を持っているのかもしれません。舞台に出たら、今日来てくださったお客さんのために壁にぶつかって命を落としてもいい。シャレでも何でもなく、本気でそう思ってやってきました。ここも正解か不正解かは自分でも分かりませんけど、そう思ってお仕事にあたってきました。
あと、今は娘の力がすごく大きいと思います。こんなキャラクターなので、娘が学校に行っていじめられたらどうしようとか、その思いがあって、中途半端なことではダメだと。「お母さん、突き抜けてて、あそこまでいったらカッコいいやん」と言われるくらいまで行かないといけない。その思いが今の原動力にもなっています。
50歳を過ぎてからお仕事が増えて本当にありがたいばかりなんですけど、こういう取材で「今後の目標は?」みたいなことを聞かれることも増えました。
でも、これは今も昔もこれからも変わらないんだろうなと思います。結局、なんばグランド花月の2階席のお客さんにまで声を届ける。動きを届ける。そして、笑ってもらう。これをずっとやり続けるしかないんだろうなと。
……舞台の時の島田珠代とは全然違う話を延々してますよね(笑)。舞台の自分と普段の自分は本当に違っていて、何ともキャラクターにない話をしてしまっているのかもしれませんけど、実際、それしか考えていなくて。これからもただただ続けていく。そう思うばかりなんです。
(中西正男)