
ゲイであることをカミングアウトした後、AAAの與真司郎さんのもとへ世界中から相談や励ましの声が届いた。伝えていきたいのは、“自分らしく生きることの心地良さ”。「それはLGBTQ+に限った話ではないですね」と語った。AERA2025年4月21日号より。
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「人と話すのが好きなんだな、と最近になって気がついたんです」
インタビュー中、與真司郎は目を輝かせながら、そう口にした。実際、目の前の與はオープンで饒舌で、終始晴れやかな表情をしていた。けれど、これまでの道のりを思うと、そんな何げないひと言も言葉以上の意味を持つ。
2023年7月、ファンの前でゲイであることをカミングアウトした。パフォーマンスグループAAAのメンバーとして活動しながらも、男女の恋愛ソングに感情移入できずにいた。カミングアウトの1年半前までは家族にも打ち明けていなかった。本当の自分を隠し続けることは、いつしか與の“日常”となっていた。
「10代の頃からずっと表舞台で仕事をしていたので『完璧でいないと』というプレッシャーもありました。同時に、ゲイであることも隠さなければいけない。いま考えても精神的につらかったな、と」
そんなつらさから少しずつでも抜け出せたのは、カミングアウト後も想像以上に応援してくれるファンがいたこと。そして、海外に出て多様な価値観に触れ、視野が広がったことが大きいと言う。
「行動するって、本当に大事だな、と。最近はアメリカ人の友人たちからも『行動力があるね』と言われるようになったんです。人と出会い、話すことが人生のプラスになっていく。『自分は唯一無二の面白い人間かもしれない』とも思えるようになりました」
インタビュー中、「カミングアウトしても表紙に起用されるなんて嬉しい」と口にした。その言葉を聞き、少し動揺した。まだまだ世間は、性的マイノリティーに対し冷たい、少なくとも與にはそう思わせてしまっていたのか、と。
変わっていかなければいけないのは、きっと私たちのほうだ。與と言葉を交わしたことで、そんな気持ちにさせられた。(ライター・古谷ゆう子)

※AERA 2025年4月21日号