
財務省に対する批判が噴出している。根底にあるのが、財政健全化を優先しようとする財政政策への怒りだ。主催者の一人は「解体」ではなく「分割」が必要と訴えている。AERA 2025年4月14日号より。
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3月下旬。午後5時過ぎ。日が暮れていく東京・霞が関の財務省の前で、大きな声が響き続けた。
「財務省は解体しろ!」
「消費税を廃止しろ!」
「天下り廃止!」
行われたのは「財務省前デモ」。40人ほどが集まり「消費税廃止」「STOP!! 増税」など思い思いのメッセージを書いたプラカードを掲げ、順番にマイクを持ち、財務省の庁舎に向かい抗議の声を上げた。
「黙っていられないです」
千葉県から電車を乗り継いで来たという男性(59)は、こう話した。
製造の現場で派遣として働き、時給は1300円で月収は20万円程度。会社員の妻と2人暮らしだが、生活はカツカツ。好きなたばこも我慢している。貯金はなく、老後の心配は尽きない。こんなにも生活が苦しいのはどうしてか、SNSで調べていて「オススメ」で流れてきたのが「財務省前デモ」だった。
「財務省は増税し、税金を上げることしか考えていない。許せないです」(男性)
多い時は1千人が参加
いま、こうした「財務省解体デモ」が広がっている。財務省前では月に数回、複数の個人や団体がデモを主催し、多い時は一度に1千人余が参加。東京だけでなく、地方の財務局前など全国約10カ所で一斉に開催されたこともある。
財務省に対する批判的なデモは一昨年秋ごろから散発的に行われていたが、今のように頻繁に開催されるようになったのは昨年11月ごろから。衆院選で所得税の非課税枠である「年収103万円の壁」の見直しが焦点となって以降、SNSで財務省への批判が噴出し、デモに繋がった。