
トランプ大統領は非常に頭の良い人物
メディアでは「トランプ関税」と呼ばれていますが、これにより外国為替市場では円が大きく上昇しました。トランプ大統領の最終的な狙いはドル安であり、1年後には状況が大きく変わる可能性があります。
つまり、日本にとってこの関税には、プラスとマイナス両方の側面があるのです。
だからこそ、日本政府はただ青ざめるのではなく、ポジティブに捉える視点も必要です。例えば今回、メキシコが相互関税の対象から外されたという事実があります。これは、トランプ大統領が「日本や他国にも交渉の余地がある」という良い意味での“見せしめ”とするために、メキシコを例外とした可能性があります。トランプ大統領は非常に頭の良い人物なので、すべて計算の上での判断でしょう。

「相互関税」とは、お互いが同じ数字に揃えることを意味します。日本は、アメリカ製品に対する関税を下げることや、非関税障壁を取り除くことを求められているのでしょう。中国やカナダ、EUのように報復関税で対抗するのではなく、冷静に対応すべきです。
アメリカ製品に関して関税を下げる余地があれば、「ディール(取引)」は成立します。だからこそ、日本政府は突然の発表に焦るのではなく、話し合いの場を設けることが、アメリカだけでなく日本にとっても得策なのです。
(構成/編集部・古寺雄大)
*AERAオンライン限定記事