2025年02月12日、「トランプ関税」などに関する質問に応じる日本貿易会の安永竜夫会長(三井物産会長)。各業界に影響が及んでいる=東京都千代田区

トランプ大統領は非常に頭の良い人物

 メディアでは「トランプ関税」と呼ばれていますが、これにより外国為替市場では円が大きく上昇しました。トランプ大統領の最終的な狙いはドル安であり、1年後には状況が大きく変わる可能性があります。

 つまり、日本にとってこの関税には、プラスとマイナス両方の側面があるのです。

 だからこそ、日本政府はただ青ざめるのではなく、ポジティブに捉える視点も必要です。例えば今回、メキシコが相互関税の対象から外されたという事実があります。これは、トランプ大統領が「日本や他国にも交渉の余地がある」という良い意味での“見せしめ”とするために、メキシコを例外とした可能性があります。トランプ大統領は非常に頭の良い人物なので、すべて計算の上での判断でしょう。

おおの・かずもと/1955年、兵庫県生まれ。東京外国語大学英米学科卒業。医療問題から経済まで幅広い分野に関して世界中で取材を行う。(photo 本人提供)

「相互関税」とは、お互いが同じ数字に揃えることを意味します。日本は、アメリカ製品に対する関税を下げることや、非関税障壁を取り除くことを求められているのでしょう。中国やカナダ、EUのように報復関税で対抗するのではなく、冷静に対応すべきです。

 アメリカ製品に関して関税を下げる余地があれば、「ディール(取引)」は成立します。だからこそ、日本政府は突然の発表に焦るのではなく、話し合いの場を設けることが、アメリカだけでなく日本にとっても得策なのです。

(構成/編集部・古寺雄大)

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