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 ストレス社会と言われる現代、多くの人がこころの不調を抱えています。30年超にわたり漢方診療をおこなう元慶應義塾大学教授・修琴堂大塚医院院長の渡辺賢治医師は、最近メンタル不調の患者さんを診る機会が増えているといい、「『月曜日に会社に行くのがつらい』というのも立派な不調」と話します。

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 メンタル不調に対して漢方という選択肢もあるということを、より多くの人に知ってもらいたいと、渡辺医師は著書『メンタル漢方 体にやさしい心の治し方』(朝日新聞出版)を発刊しました。同書から抜粋して前編・後編に分けてお届けします。

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 日々働いていて、以下のようなことを感じたことはありませんか?

● 月曜日に会社に行くのがつらい

● 会社に行くと呼吸が浅くなり、息苦しい

● 夜、寝るときも仕事の不安があってなかなか寝つけない

● 休日も仕事のことを考えてしまい、疲れがとれない

● このままだとメンタルを病んでしまうかも……

 こういったことを感じる人はかなり多いのではないでしょうか。メンタル不調やこころの病気というと、「いや、私はそこまで状態は悪くない」と言いたくなりますが、メンタル不調になっていく人も、最初は軽い症状からその兆しが表れてくるものです。

 ストレス社会と言われる現代、多くの人がこころの不調を抱えています。適度なストレスは人間にとって必要なものですが、過度なストレスがかかり続けると、こころに不調を来し、やがてはうつ病などの病気(精神疾患)になってしまいます。

 精神的な不調で医療機関を訪れる人は増加傾向にあり、近年は心療内科、精神科、メンタルクリニックが駅前など通院しやすい場所に増えています。労働衛生安全法の改正により、2015年12月から企業(労働者が50人以上いる事業所)に年1回のストレスチェックが義務化されたことの影響も大きいでしょう。

 精神疾患の患者数は増える一方で、医療機関にかかっている精神疾患の患者数(認知症も含む)は約419・3万人(入院患者数:約30・2万人、外来患者数:約389・1万人)(平成29年患者調査)となっています。

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