
「メーガンさんは人々を魅了している」のか
なぜ、ネットフリックスはメーガンさんの番組を擁護するのか。それは、もちろん自社の作品であるからだが、重要なのはブランド「アズ・エバー」製品の投資にネットフリックスが深く関わっているためという。したがってヘンリー王子夫妻との5年契約が終わっても、何らかの形で関係は続くと見られる。
エクスプレス(オンライン)によると、ネットフリックスの幹部は、メーガンさんが独自の製品ラインを発売すれば、たちまち売り切れると予測。「メーガンの名前は世界的に知られており、人々に影響力を持ちます。本当に儲かるのは、商品販売なんです」と話している。メーガンさんの番組では視聴者を「メーガンの世界」に誘い、光り輝くジュエリー・コレクションを間近に見せているが、専門家が予告編に映っていたジュエリーを分析したところ、総額約6千万円に達したという。そんなメ―ガンさんについて、この幹部は「人々がメーガンに魅了されているのは間違いない」と結論付ける。
当然、反論もある。「ネットフリックスとメーガンとは互いの利益のために相手を利用している。ネットフリックスは、メーガンはただの笑いものに過ぎないと承知しているのに、視聴率を稼ぐため彼女をあえて世に出す。メーガンも、それを知らないわけはない。ネットフリックスとメーガンは金稼ぎが目的という点で完全一致しており、両者には恥じらいというものがない」と王室専門家は話す。
ダイアナ元妃の死を追うドキュメンタリー制作を依頼

ヘンリー王子夫妻にダイアナ元妃のドキュメンタリー制作の依頼
さらに、ネットフリックスは、ダイアナ元妃の死を追う新たなドキュメンタリー作品の制作を二人にオファーする予定だ。元妃がパリで交通事故死を遂げたのは、1997年8月31日だった。執拗なパパラッチから逃げようとした結果の事故であり、様々な陰謀説も流れた。地雷廃絶を進めるダイアナ元妃に抵抗する武器商人らの策略という噂や、極端な例として、カミラ夫人(77)との再婚を進めたいチャールズ皇太子(当時)の謀殺説(離婚しても、別れた相手が生存中は再婚できないとする宗教的な縛り)まで出た、結局、運転手のアルコール飲酒による運転ミスと結論づけられてはいるものの、未だに陰謀論が消えることはない。
イギリス国民ばかりでなく世界の人から今なお敬愛されるダイアナ元妃。27年はダイアナ元妃が亡くなって30年にあたるため、ネットフリックスは改めて社会的文化的アイコンとしての元妃の役割を検証するという。その時、元妃の次男であるヘンリー王子にはユニークな立場を生かしてほしい。まだ調整段階で最終決定ではないとされるが、ヘンリー王子は司会、ナレーション、共同制作の総指揮を執る予定という。
ヘンリー王子は今どんな想いでいるのだろうか。
ダイアナ元妃の番組を手掛ければ、ウィリアム皇太子(42)やチャールズ国王(77)などとの関係修復の助けになると考えていると思われている。それに対して、すでに「王子は、親をなくした子どもは世界で自分一人だと思いこんでいる」「国民の元妃への追悼の気持ちを裏切る結果になるに違いない」と不安視する声があがっている。とはいえ、もしもネットフリックスとヘンリー王子夫妻がダイアナ元妃についての新たな契約を結べば、メーガンさんはまた勝利のダンスを披露することだろう。
(ジャーナリスト 多賀幹子)
*AERAオンライン限定記事