松下さん演じる江崎が「デジタル企画報道部」という新設の部署に異動してきたところからストーリーが始まる(撮影/写真映像部・東川哲也)

言葉の繊細さを実感

「思い出されるのは受験勉強のときのことです。小論文対策で『天声人語』を読んで要約したり、自分の意見を書いたりということを続けていました。受験勉強中はなかなかニュースを追えず、世の中の流れを知るために新聞を読んでいたなって」

 俳優として活躍を続け、発信する立場にもなった見上さん。言葉の繊細さを実感する日々だという。

「自分の思いを真っ直ぐ届けるには言葉しかないんだけれど、その言葉を上手に扱っていくのはかなり難しいなと思います。一つの言葉に対して、100人いたら100通りの感じ方が生まれると思っていて、怖いなと思いながら発信することも多いんです。誰かの心に響くような言葉を発することができたとして、それを読んだ人がその人の感性を交えて次の人に言葉を届け、温かい気持ちになれる。そんなふうに自分の言葉が届いていく“その先”を考えながら言葉を選びたいと思っています」

 CMはこんなメッセージで始まる。

〈わからないって不安だ。だから言葉を届けようと思う〉

〈文字だけじゃない。形にもこだわらない。届けるために全力を尽くす〉

 いま、新聞社が言葉をのせるのは紙面に限らず、動画や音声配信など多岐にわたる。それぞれに全力で向き合う、二人の真に迫る演技が注目のCMは3月21日から公開中だ。

(編集部・秦正理)

AERA 2025年3月31日号

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