朝日新聞記者を演じる松下さん。東京・築地の本社では、編集局や動画配信スタジオなどで撮影が行われた(撮影/写真映像部・東川哲也)
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 松下洸平さん(38)と見上愛さん(24)が記者を演じる朝日新聞社の新CMが公開された。東京・築地の本社で行われた撮影をレポートする。AERA 2025年3月31日号より。

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2月初旬、気温5度にも満たない朝の寒さの中、朝日新聞東京本社の中庭で撮影はスタートした。出演する舞台公演の合間を縫っての撮影にも、松下さんはいつも通り、笑顔を絶やさず現場に入った。

 松下さんが演じるのは入社14年目の記者、江崎大輔。大量のデータを分析、可視化することで社会課題を見つけ、調査報道につなげるデータジャーナリズムを担う記者という役どころだ。

「これまで僕は読む立場の人間で、取材して、それを記事にして届ける立場の方々の思いを深く考えたことがありませんでした。データジャーナリズムという言葉があること、そういった専門のチームがあることも今回初めて知ったので、新しい発見の連続でした」

記者として溶け込む

 撮影は新聞社の心臓部である編集局フロアでも行われた。松下さんが段ボール箱を持って異動してくるシーン、パソコンの画面を凝視してデータとにらめっこするシーン、同僚との打ち合わせのシーンなど、シチュエーションごとにカメラや照明が大移動する。

 撮影の日は、平日。編集局内には通常の仕事に従事する社員が大勢いる。その中に、松下さんは記者役として自然に溶け込んでいく。真剣にデータと向き合う表情は記者そのものだ。

 海や川でのレジャー事故発生場所を分析し、事故集中エリアを示した「水難事故マップ」。全国の事故発生地点を朝日新聞が分析したデータジャーナリズムの一事例だ。撮影現場では、実際にマップを作成した朝日新聞の記者とも対話を重ね、何度もレクチャーしてもらいながら、記者としてのリアリティーを追求する姿もあった。

 撮影ではパソコンのモニターに実際の数字が映し出された。松下さんは「膨大な量のデータを吟味して、本当に細かい数字と闘う。聞けば聞くほどものすごく地道で、途方もない作業だと思いました。そこに些細な発見があって、その連続で誰かの命や暮らしを助けることができる。人々の視界から隠れてしまって見えないものと向き合い、データの力を使って届けるという姿勢には励まされ、刺激を受けました」と話す。

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親戚が朝日新聞の記者