
山上徹也被告の伯父の率直な想い
山上被告は現在、大阪拘置所に勾留されている。裁判員裁判に向けた公判前整理手続きはすでに6回開かれたが、まだ公判日程は決まっていないのが現状だ。山上被告の伯父で元弁護士の山上東一郎さん(79)は、山上被告の母親を事件直後に保護したり、拘置所に書籍を差し入れたりするなど、一家への気遣いを続けてきた。
解散命令決定の一報を聞き、「社会全体から、解散命令を出すべき、という声があがった結果でしょう。裁くのは、法律でもなく、裁判所でもなく、社会ですから」。山上被告の公判については「思ったよりも公判前整理手続きに時間がかかっている印象ですが、量刑も社会が決めるもの。事件によって社会にどんな変化が起きたのかも、きちんと見てほしい」と語った。
「解散命令は出ない」と踏んでいた教団
法令違反による解散命令は、地下鉄サリン事件などを起こしたオウム真理教(96年に確定)、相談者から供養料などを詐取した明覚寺(02年に確定)に続き3例目となる。

教団は「承服できない」として、東京高裁への即時抗告をすると表明している。抗告すれば高裁で審理が続き、高裁も解散を支持すれば効力が生じるが、解散の是非は最高裁まで争うことになる見通しだ。
教団を20年以上追いかけるジャーナリストの鈴木エイトさんは、「教団は当初、組織の体質変革を図った『コンプライアンス宣言』を出した09年以降、問題は改善したと主張。解散命令は出ないと踏んでいました」と指摘。だからこそ、09年以降の献金被害も認定した上での決定の衝撃は大きかったとみられる。
「今後、教団はいかに信者をつなぎとめるかに腐心することになるでしょう。解散命令が確定すれば、ただの『宗教団体』になり、税制上の優遇がなくります。集めた献金にも所有している不動産にも全て課税されるため、これまでのような活動はできなくなります。大きな礼拝堂での集会もなくなり、次第に信者が離れていく可能性もあります」(鈴木さん)
教団との関係を問題視されてきた自民党に対しては、政治責任や真相究明を迫る声が相次いでいる。山上被告の裁判も始まっていない。教団の動きを注視しつつ、教団がもたらした社会への課題を今後も考えていくことが求められている。
(編集部 古田真梨子)
*AERAオンライン限定記事