ふかわりょう

後輩のロッチやハナコにアドバイス

 若くしてブレークし知名度もあるがゆえ、「50歳からの賞レース参戦」は否が応でもハードルがあがってしまう。それでもふかわは事務所ライブで若手芸人たちにもまれながらネタを磨き、本気で賞レースに向き合い続けたという。バラエティー番組のプロデューサーはこう明かす。

「R-1挑戦にあたり、彼は『早めにお笑いライブを離れてしまったことにどこか後ろめたさがあった』とインタビューで語っていることから、忸怩たる思いがあったのでしょう。昨年から100席ほどの小さなライブにも積極的に参加し、若手にもまれながらネタを磨き続けた。また、芸人仕事から離れている時期でも、同じ事務所の後輩のネタをチェックし、アンガールズやロッチ、ハナコらに陰ながらアドバイスをしていたそうです。つまり、芸人としてはなんら死んでなかったということです。R-1挑戦はかなり話題になりましたし、ここにきてバラエティーの露出が増えているのもいい波が来ている気配を感じます。やはり場数が違いますから、彼にしかできない笑いをテレビでも小出しにしつつ、存在感をしっかりと出せているのはさすがだと思います」

 元「週刊SPA!」副編集長で芸能デスクの田辺健二氏は、ふかわの今後をこう予測する。

「音速レベルの速さで売れ、お笑い界を駆け抜けていった感のあるふかわさんが、かつてのエリート芸人としてのプライドを捨て、狭い劇場から再スタートしたり、賞レースに真正面から挑んだりする真摯な姿勢は、世の働く人たちに『50歳からでもまだやれる』と勇気や希望を与えるでしょう。ご本人が『R-1の決勝で出す予定だった一番大切なネタを出せずに敗退してしまった』と語っているので、来年もまた出場するはずです。彼からにじみ出る若干の挙動不審さや、すぐに感極まるというキャラがもっとお茶の間に浸透していけば、バラエティー番組での露出を増やすことにもつながり、来年は最高の状態でR-1に挑めるのではないでしょうか」

 誰もがうらやむエリート芸人だった男が50歳を機に、笑いを求めて人知れず劇場の舞台に立ち続ける。生まれ変わったふかわりょうは再ブレークを遂げるのか。心して見届けたい。

(藤原三星)

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