
「全員が主役も脇役もできるスーパーなバンドになれた」と語る東京スカパラダイスオーケストラ。ずっと一緒にやってこられた秘訣に迫った。AERA 2025年3月24日号より。
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細身のスーツに身を包んだイケオジたちが、高い脚立の上からカメラを構える本誌表紙フォトグラファー、蜷川実花のレンズを見上げた。フォトセッションが始まると「イエ~イ!」「フォ~」と誰ともなく声を上げ、全員で楽しげな雰囲気を作っていく。いつもこうしているのかを尋ねると、ドラムスの茂木欣一が「アハハ!」と陽気に笑って頷いた。
昨年、デビュー35周年を迎えた。ジャマイカ発祥のスカにあらゆるジャンルの音楽を独自の解釈で取り込んだ“トーキョースカ”を確立し、世界中で演奏してきた。一方、2001年からはゲストボーカルを迎え入れる
“歌モノ”に挑戦。人気ミュージシャンに留まらず、さかなクンや高校の吹奏楽部といった遊び心溢れるコラボにも挑み、新たなファンを獲得し続けている。
「最近は親子でライブにいらっしゃる方がすごく増えた。お子さんが吹奏楽をやっているご家族とか、下手したら3世代で聴きに来てくださる方もいて。そういった方に、まだ知ってもらえてない僕らの音楽をもっと届けたいですね。これから発売するアルバムをその入り口にしていただけたら」(加藤隆志)
3月19日にリリースする「NO BORDER HITS 2025→2001」は、“歌モノ”楽曲を中心にしたベストアルバムだ。CD3枚組にわたるコラボの歴史はバンドとしての成長の歴史とも重なる。
「コラボレーションに頼りすぎるのを危惧していた時期もあった。大きく見せすぎて、相手がいなくなった時に自分たちがちっぽけに感じられるんじゃないかと。でも経験を重ねていく中でそんな心配は消えました。今はメンバー一人一人がアーティストとして雄弁だし、どんなゲストを招き入れても自分たちの表現が揺らがない自信がある。まだまだみんなが幸せになるようなコラボに挑戦し続けたいですね」(谷中敦)
(ライター・大道絵里子)

※AERA 2025年3月24日号

