齋藤早苗さん(右)、齋藤剛さん(撮影:篠塚ようこ)

夫 齋藤剛[58]官公庁 臨時事務職員

さいとう・たけし◆1966年、東京都墨田区生まれ。慶應大学卒業後、89年に日本たばこ産業に入社し、たばこや「桃の天然水」などの飲料のマーケティングを担当。各地の支店長を歴任し、北関東支社の企画部長に従事。2022年3月末に役職定年制で退職。23年3月に医療機関への就職を経て、24年9月から現職

 妻は自身のキャリアより、次男の療育に注力してきました。次男は1万人に1人とされるソトス症候群なのですが、息子たちが一番手のかかる幼少期に単身赴任になってしまって。平日は妻がワンオペだった時期もあり、役職定年後は「今度はあなたが好きなことをする番」と思いました。

 55歳で家事と子育てをすることになった当初、家事に関しての小言を言われ、次男との接し方がわからず毎日眉間にシワを寄せていました。それでも、次男とは向き合い続けたことで、関係性は徐々に良好になっていきました。

 今は、「何とかなる」と良い意味で楽観的に捉えています。というのも、両親ときょうだいは既に他界し、義父母は元気なので当面の介護の予定はありません。長男も大学卒業後は自立すると考えると不安要素は少なく、稼ぐことにはもう執着はしていません。

 妻は自分で決めたことに向かって突っ走るタイプなので、健康には気をつけてほしいですね。そして僕よりも長生きしてもらいたいです。

(構成・小野ヒデコ)

AERA 2025年3月24日号

▼▼▼AERA最新号はこちら▼▼▼