
生き方や性別などの多様性が広がる中、男子校や女子高といった別学校が共学化するケースが増え、教育現場にも変化が起きている。教育の専門家が見る別学が減少する二つの理由とは。AERA 2025年3月17日号より。
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学校教育の現場で、男子校、女子校といった別学が減り、共学化が進んでいる。国内の高校でみると、別学は現在10%にも満たないのが現状だ。知名度が高く「伝統校」「名門」と呼ばれてきた学校でも、共学校にかじを切るケースが相次いでいる。なぜ、別学は減ってきているのか。本連載の新シリーズでは、別学を維持する女子校の存在意義について考えてみたい。
2024年度の学校基本調査の結果によると、生徒が実際に在籍している高校は全国に4684校ある(分校を除く)。そのうち男のみが在籍している学校は92校(1.96%)、女のみが在籍している学校は266校(5.68%)。
別学のほとんどは私立校だ。男のみの学校92校のうち、私立は79校、女のみでは266校のうち237校。女のみでは私立がほぼ9割に及ぶのが現状だ。
私立のケースを10年前の14年度と比べてみよう。男のみが在籍している学校は105校、女のみは281校。さらにさかのぼって30年前の1994年度は、男のみは228校、女のみは484校あった。男女ともに別学は減り続け、30年前と比べると男子は3割、女子は5割程度にまで落ち込んでいる。
なぜこれほど減っているのだろうか。武庫川女子大学教育総合研究所(兵庫県)教授の安東由則さんによると、理由は大きく二つある。
一つは少子化だ。92年に205万人だった18歳人口は02年には150万人にまで激減した。少子化で生徒募集が難しくなった結果、生き残りをかけた学校の経営改革の手段が共学化というわけだ。安東さんは「生徒や保護者に選んでもらえる学校にするためには、男女に関わらず優秀な人材を入れて共学化し、進学率の高さをアピールするしかないのかもしれません。今後も共学化の流れは続くでしょう」と指摘する。