バッキンガム宮殿での晩餐会を前に国王夫妻と記念撮影をする両陛下。雅子さまは、繊細なリバーレースで仕立てたイブニングドレスをお召し。ドレスがキラキラ光るのは、「フィルム糸」という特殊な糸をレースと一緒に織り上げるため=2024年6月25日、ロンドン
この記事の写真をすべて見る

 公務などに出席した皇族方は、その装いにも注目が集まる。そんな皇族方の「あのとき」を振り返る(この記事は「AERA dot.」に2024年12月9日に掲載した記事の再配信です。年齢や肩書などは当時のもの)。

【写真】華麗なるレースの装い!光に透ける薔薇やビーズが豪華な雅子さまのドレス

*   *   *

 12月9日に61歳の誕生日を迎えられた皇后雅子さま。今年6月の訪英の際に臨んだ晩餐会では、雅子さまの輝くティアラと白のレースの装いに注目が集まった。雅子さまの装いは、控えめでありながらも繊細な装飾な仕立てが施されている。そのひとつが、希少なリバーレースを用いたドレスや装いだ。華麗でありながら、接遇の相手によって異なる柄行のレースをお召しの雅子さま。レースに込められた思いとは。
 

 6月25日、天皇陛下と皇后雅子さまは、英国ロンドン中心部にあるホースガーズでの歓迎式典に臨み、その後はバッキンガム宮殿へと続く大通り「ザ・マル」を、天皇陛下とチャールズ国王、雅子さまとカミラ王妃がそれぞれ乗った馬車が騎馬隊に守られながら進んだ。

 カミラ王妃の隣の雅子さまは、白いコートドレスと帽子、マスクのすべてのアイテムにリバーレースを豪華に用いた装いだった。
 

雅子さまご愛用の200年前と変わらないレース

 雅子さまが愛用するリバ―レースとは、どのようなものなのか。

 1958年に創業し、国内で唯一リバーレースを製造してきた兵庫県宝塚市の「栄レース」の澤村徹弥社長によると、装飾を目的とするレースが生まれたのは16世紀ごろ。17世紀のフランスでは華やかなバロックスタイルのレースが王侯貴族に着用された。

 その後の産業革命やフランス革命でレース産業は一時衰退したものの、19世紀初めに機械で織る「リバーレース機」が英国で発明された。

次のページ
2万本の糸で織りだすレースのドレス