占い師、作家 しいたけ.
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 AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占い師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。

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Q:出会って7年のタイに赴任中の年下の彼氏とのことです。彼に結婚願望がなかったため1年ほどお別れしていた時期がありましたが、赴任が決まってまた連絡を取り合うように。タイで一緒に暮らそうと言われています。タイに行ったら結婚願望が湧くの?など考えてしまいますが、本音は嬉しくもあります。私はバツ2で彼は未婚。海外で暮らすのもなかなか勇気がいります。彼は私の最後のパートナーなのでしょうか?(女性/事務職/54歳/みずがめ座)

A:あまり無責任なことは言えないし、状況がわかりかねるところもありますが、率直に言ってこのお相手と結婚やパートナーシップを視野に入れて動くのは難しそうだなという印象を受けました。なぜなら、相手の方のずるさのようなものを感じたからです。

 結婚やお付き合いも含めてですが、お互いが本気になって責任を取り合う、一緒になるというのが一つの理想的な形ですよね。でも中には「責任を取りたくない」人がいて、そういう人たちは「言葉が一定の枠を超えて出てこない」という特徴があります。

 例えば相談者さんは彼から「タイで一緒に暮らそう」と言われていますが、一般的には、それはじゃあ結婚ということですか、と思いますよね。

 でも彼は「一緒に暮らそう」という言葉から出てきていません。「一緒に暮らしましょう」「好きにこの家を使ってもらってもいいですよ」「一緒のベッドルームで過ごしましょう」。そういう言葉以上の意味や広がりを持たせない相手は、ちょっと注意したほうがいい。自分のテリトリーに来てくれる分には会うけど、自分からは相手のテリトリーには赴かないという人は、責任を取る関係には発展しません。個人的な占いではないので「彼は私の最後のパートナーでしょうか」というご質問には答えられませんが、距離を置くことの有効性は僕はあると思っています。

 人との関係では、一緒にいる時間の中で少しずつ考え方や価値観が変化します。「昔はあなたこういう考え方しなかったのに今は違うよね」みたいに。影響を受け合って、徐々にその人なりの歩み寄りが生じるはずなんです。

 冷却期間を置くのは、お互い苦しくなった時に1回ちょっと距離を取って、また改めてお互いがどれだけ大切だったか確認しましょうという意味で有効ですが、冷却期間を置いてまた会った時に「この人変わらないな」というふうに感じたら、それは手放してもいい関係かもしれません。

 絶対に自分の流儀は変えない、という人を人生の目的にしてしまうと、本当にすり減ってしまうし、苦しくなっていきます。どんなに時間をかけても変わってくれない人を見続けることは、とてもきついことです。

 みずがめ座は殉教者みたいな面があって、一度自分がハマった道をどんなに苦難があってもやり遂げようとする不屈の精神が現れたりします。でも変わらない人って本当に1ミリも自分のテリトリーから動かないから、そこは冷静に見極めてくださいね。

AERA 2025年3月10日号

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