
副業者へのサポートが不足か
オンボーディングについても、こう指摘する。
「副業者が副業先固有のルールを知り、副業先での信頼関係・人的ネットワークを構築するには、オンボーディングが重要で、パフォーマンスにも関係します。副業容認率は高まっているものの、どう働くかは個人任せになっていて、企業としての働きかけまで至っていない。副業者を受け入れるなら、そのメリットを十分に生かせるよう企業が戦略を練るべきでしょう」
藤岡清高さんは、スタートアップ企業への転職・副業支援を行う「株式会社スタートアップクラス」を率いる。「全ての副業に言えることではないかもしれないが」と前置きしたうえで、次のように続ける。
「副業で大切なのは、成果にコミットできるか。達成するミッションを双方が明確にし、合意していることが大前提」
副業で失敗するパターンは
藤岡さんは、副業で失敗するパターンとして次の点を挙げる。
・仕事内容が契約外にまで及ぶ
・時間と場所のコントロールができない
・決裁者以外とやり取りをする
本業の看板を外しても通じるスキルか
「日本人の多くはジョブ型雇用(職務に適した人材を採用する雇用形態)に慣れていない。副業者に対して契約以外のことまで依頼し、副業者も立場が弱いために断れず受け入れてしまう。さらに時間や場所を自分でコントロールできないとなれば、仕事量が過剰になってしまいます。やり取りしている相手が決裁者ではないというのもよくある失敗パターンです。コミュニケーションコストが生じ、パフォーマンスに悪影響が出ます」
順調に副業できている人の共通項として、副業に対し「再現性の確認」を求めている点が挙げられる。
ある大手企業のマーケティング担当は、会社の名前がなくても成果を出せるのかと、地方都市の地域創生プロジェクトに副業で参加。集客スキルを発揮して移住者を呼び込むことに成功し、それをきっかけに、地方創生のプロとしても活躍するようになった。
自分のスキルは、本業の“看板”を外しても、通じるスキルなのか。
「副業だからこそ、うまくいかないと感じたら、固執せず、“次”を探す。軽やかに動くことが必要です」
(ライター・羽根田 真智)