4月28日に公開予定のハリウッド映画「聖闘士星矢 The Beginning」で初主演を務める新田真剣佑さんがAERAに登場。作品にかける思いを語った。AERA 2023年4月24日号から。
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「わー、実花さんワールドだ」
スタジオに足を踏み入れ、旧知の仲であるフォトグラファー、蜷川実花の組んだセットを前にそう声を上げた。
柔和な雰囲気で、時におどけたようなしぐさを見せるなど、くるくると表情を変えていく。だが取材では、考えを巡らせながら、ゆっくりと言葉を紡いだ。
米国に生まれ、高校卒業までを過ごした。俳優として、日本で数多の映画やドラマに出演した後、映画「聖闘士星矢 The Beginning」で主人公・星矢を演じた。主演にして、メインキャストとしては唯一の日本人。だが、現場で壁を感じることも、アクション満載の撮影に精神的に追い詰められることもなかったという。
「ハードだな、という感覚はなかったです。それよりも『やり切ってやろう』という気持ちの方が強かった。覚悟、でしょうね。腹を括って参加しました」
漫画『聖闘士星矢』はリアルタイムでは知らない。だが、あえて読まずに撮影に臨んだ。
「自分にとっては、この映画の星矢でしかない。これが“令和の星矢”であり、脚本のなかの星矢を生きました」
撮影に入る前、映画「ちはやふる」(2016年)の撮影に参加した時の心情がフラッシュバックしたという。過去の作品が脳裏に浮かぶのは、初めてのことだった。
「まだ何もお芝居を知らない時期に抜擢され、不安がありながらも挑戦していく自分を思い出しました。初心を思い出すような感覚でした」
現場で学んだことを尋ねると、こう答えた。
「現場で得たものは計り知れない。世界の広さとすごさを知りました。そして、『世界の深さ』ですね」
取材を終えると、「聖闘士星矢 The Beginning」のVFXを手がけるスタッフと笑顔で立ち話をし、「お先に失礼します」と深々とお辞儀をしてスタジオを後にした。ピンと伸びた背中、真っ直ぐな姿勢が印象的だった。(ライター・古谷ゆう子)
※AERA 2023年4月24日号