miletさんと中島健人さん(写真:植田真紗美)
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 中島健人ソロ後初の映画主演作であり、miletは演技初挑戦となる。ともに記念すべきタイミングで出会った映画「知らないカノジョ」は人生のifを描くファンタジックラブストーリー。初共演ながら二人の息はピッタリだった。AERA 2025年2月24日号より。

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中島健人(以下、中島):撮影初日からリクとミナミが恋に落ちていく点描シーン(短い時間で簡潔に観客に伝える場面)を撮影していったんですが、俺、結構緊張したんですよ。セリフがないからアドリブでどんなセッションになるか分からなかったから。でもいざ始まったらすごく自然に……ミナミがギターを弾きながらどんな風に曲作りをするかアドリブで語ってくれたりもして、それができるmiletちゃん、これ何作目の作品?って(笑)。

milet:1作目です(笑)。私はあんまり緊張しないで出来ました。でも、私としては中島さんにずっとリードしてもらった感覚でした。初日からリクの中に、またリクを通して素の中島健人さんを感じられたから安心したんです。繕った顔じゃなくて、素顔で迎え入れてくれたから、自分の中のミナミもさらけ出せた。リクを見ながらミナミができあがって、ミナミを見ながらリクもできあがって……。

中島:うん、点描でチューニングできた。なんだろうな、二人の“ヘルツ”が近い感覚でした。

――やがてリク(中島健人)は小説家として大成するが、妻であるミナミ(milet)はミュージシャンの夢を諦めリクを支える立場に。すれ違いが増えて喧嘩した翌日、リクが目覚めると、なぜか世界は一変。自分は夢破れ、ミナミは大スター、二人が出会ってもない日常が始まってしまう。ifの世界で奔走する中島のエモーショナルな芝居と、両世界のミナミを魅力的に演じたmilet。役との境界線が曖昧になることもあった。

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曲を聴いて号泣