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「日本は投資に回るお金が少ない」と言われている。TSMC誘致のように産業活性化に貢献する大規模投資は結構なのだが、子どもたちの学びや教育への投資をおざなりにしては、長期的に見て日本社会の先行きが心配になる。教育こそ、いずれ大きなリターンを生むとされる投資先の代表格なのだから。
経済協力開発機構(OECD)や世界銀行の調査などでも、教育への投資が将来的に高いリターンをもたらすという結果が何度も示されている。もちろん「中身」が重要で、ただお金をかければいいわけではない。しかし肝心の先生が不足していては、教育の質以前に、教室を回すだけで精一杯という事態になりかねない。
地方創生も、デジタル推進も大事だけれど、学校現場の土台が崩れたら持続的な発展は難しいだろう。いずれにせよ、先生の給料や待遇が改善されないと、若い世代が教員を選びにくい状態は続く。TSMCなどの投資が生む経済効果を、教育にも循環させる仕組みが必要かもしれない。
改めて思う。いまの日本で、本当に投資すべきは何だろう? 半導体や先端技術に投じることは重要だが、それと同じくらい、あるいはそれ以上に人や教育への投資を強化しないと、将来世代を支える基盤が脆くなるのではないだろうか。熊本の教員不足の話は、その危機感を象徴していると感じた。
※AERA 2025年2月24日号
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