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ひとつの物事に対して、表面だけを捉えるのではなく、さまざまな角度から捉えることで視野が広く深くなっていく。自分で答えを出した後、その答えに対する周囲の反応を踏まえてまたどう考えるかということも大事ですよね。その繰り返しがリスクヘッジにも説得力を身につけることにも繋がる。自分の信念を突き通すこともあれば、柔軟に考えを変えることもある。そういった思考力を育むことで、ひとつのシーンに対して多くの角度を持つことができるし、人間力も高められる。25年間生きてきてどんどんそう思うようになってきました。
――役者をやっていて一番楽しい瞬間はいつなのだろうか。
三山:その作品において届けなければいけないコアな部分を、観てくださる方に届ける瞬間は特にやりがいを感じます。お芝居は感じてもらうものなので本当に難しい。いろいろな計算をする場合もあれば計算をしない方がいい場合もある。「今のお芝居は伝わったかもしれない」と思って、周りの人もそのお芝居を良しとしてくれた時はとても嬉しいです。カメラが回っている時間は自分との勝負の時間です。
(ライター・小松香里)
※AERA 2025年2月17日号より抜粋
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