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役者としてもアーティストとしても活躍中の三山凌輝さん。俳優業で自身が心がけているマインドを語った。AERA 2025年2月17日号より。
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――役者はさまざまな役を演じるが「自分であることが大事」だという。
三山凌輝(以下、三山):私生活が役に自然と出てくることはあります。その時に自分がどういう状況でどこにいるかによって、役とどうシンクロするかは変わっていく。誰と芝居するかによってすべてが変わっていくのも面白い。作品ごとに自分の在り方まで変わってくるんです。NHK連続テレビ小説「虎に翼」は演じている期間が長かったこともあり、撮影後半は「直明になるぞ」という感覚が消えていて、衣装を着てセットに入ったらもう直明でした。直明と一体化していた感覚があって「何をしても直明になれる」という手応えがありました。
でもどんな役を演じていても自分の根本は変わらない。自分というものをしっかり持っておかないと、役に振り回されてしまってわけがわからなくなってしまうと思います。
役者としての深み
大御所の俳優さんの中には、そこにいるだけでその方ならではの強い存在感を放っている方がいます。その存在感はいろいろな経験を経たからこその思考力や深みによって生まれているのかもしれない。信念はぶらさないまま、さまざまな役の経験をどう自分に吸収していくか。その積み重ねが役者としての深みを生んでいくと考えています。
何の経験もない新人がいきなり「こういう芝居をやってみて」と言われたら、ものすごく才能がある人は別として、基本的にはどうすればいいかわからずに焦ってしまうと思うんです。良い経験も悪い経験も重ねて、業界の良いところも悪いところも知っていく中で自分がやりたいことは何なのかということと向き合っていく。そうなると浮つくことなく地に足を着けて自分への理解度が高められ、素敵なお芝居が自然と出ていくようになると思っています。