というわけで、筋肉大事さん。

 筋肉大事さんの相談を読んで、「はあ?この人、何言ってるの!?」と反応する人と「分かる!ものすごく分かる!」と反応する人に分かれるような気がします。

 僕自身としては、マスコミの「お祭騒ぎ」が苦手です。

 ワールドカップの時に、マスコミが「絶対に負けられない戦いがそこにはある」と言い出した時には、悲しい気持ちになりました。選手はこう言われて嬉しいか?余計燃えるか?この言い方は、選手に余計なプレッシャーを与えて、選手を苦しめるだけじゃないかと感じたのです。少なくとも、プレーする当事者からは出て来ない言葉だと感じました。当事者ではなく、観客、つまり傍観者の一方的視点だと思いました。

 また、金メダルを国別に比較して、一喜一憂するのも、なんだかとても野暮に感じます。

 選手ががんばって結果を出したら喜ぶ。結果が出なくても、その努力をねぎらう。それだけでいいと思います。金メダルの数に国の威信をかけ、それを自分個人の存在証明にするのは、あんまりかっこよくないと感じるのです。

 筋肉大事さんの「スポーツの勝敗等にハラハラドキドキするのも苦手」というのも分かります。人生をかけた試合に負けた人を見るのはつらいですし、感情移入した人が哀しむ姿は見たくないですもんね。

「これからの人生、心穏やかに国際的なスポーツ大会の時期を過ごす為の知恵」ということですが、これはもう、「遠ざけること」しかないんじゃないですか。

 欧米人のように「オリンピックに興味がなくても普通のこと」で、アメリカ人のように「ワールドカップに興味がなくても普通のこと」ですから、「このスポーツ大会に熱狂しないのはおかしい」と迫られても、「世界基準だと熱狂しない人も多いよ」なんてスルーしながら、なるべくテレビから離れ、熱く語る人から離れ、「そんなに熱くなることないのにね」と呆れている人を見つけ、その中で心穏やかに過ごすことをお勧めします。

 大丈夫。きっと、仲間は見つかります。

 筋肉大事さんの感覚は、とてもまっとうだと僕は思いますから。

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