※写真はイメージです。本文とは関係ありません(gettyimages)

「みんな、自分の国がどれぐらい金メダルを取ったのか、興味ないんだ」とおもわずつぶやくと、「私の国はとても気にする」と手が挙がりました。

 中国人女性でした。韓国人男性とロシア人女性も手をあげました。

 アジアの国々は、「我が国が何個の金メダルを取ったか」を気にするようでした。日本もその中のひとつですね。そして、ロシアと。

 振り返れば、昔、日本はもっと「金メダルを取ること」に国家的威信をかけていたような気がします。出発前のインタビューで「楽しんできます」と答えた選手に対して、「ふざけている」「真剣さがたりない」「個人の楽しみで行くんじゃない。国家を背負っているんだ」と怒る人が、(今もいるでしょうが)昔は多数派でした。

 国家と国民のプレッシャーにつぶされて自殺した選手もいたし、帰国して土下座した選手も多くいました。

 ちなみに、番組では「じゃあ、国民が熱狂するスポーツ大会ってないの?」と聞くと、イタリア人男性もブラジル人男性も「ある。ワールドカップだ」と、にやりと笑いました。

「スポーツに熱くなるのは一緒じゃないか」と言えば、ブラジル人男性は「違う。サッカー選手のことはみんな知っている。オリンピック選手は知らない」と平然と答えました。

 で、ブラジルが勝つことを重大な問題だと考えているというので、「結局、スポーツに国家を重ねてないか?」と聞くと、「ブラジル人にとってサッカーは命だ」と答えました。理論的には、質問の答えになってないですが、気持ちの問題なのでしょう。

 一般的に、ヨーロッパや南米では、オリンピックよりワールドカップの方が人気ですが、誰でもというわけではないようです。

 イギリスに1年間住んでいた時、アパートの一階で花屋をやっていたシャロンは、ワールドカップのシーズンの前に「また亭主が仕事をしない時期が来た。サッカーなんか大嫌い」と吐き捨てていました。

 ちなみに、アメリカで圧倒的一番人気は「アメリカン・フットボール」で、野球は、いろんな統計では、アメフトの半分か半分以下のパーセンテージの人気です。もちろんサッカーに興味がある人はその10分の1ほどです。

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