AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占い師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。
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Q:人生の目標がありません。特にやりたいと思うこともなく、日々生きています。何に対しても諦めてしまっているのかもしれません。自分でこの状況を良くしようとしますがうまくいかず、落ち込んでいます。日々を生きていくためにどう過ごしたら、空虚な気持ちにならずに済むでしょうか。(女性/契約社員/43歳/いて座)
A:少し前まで、人生を考えるときに「あなたはどう生きるか」「何がしたいか」という質問が主流でした。この二つの質問の背景には、「お得」という考え方があります。人生は努力次第でこんなこともできる、こういう幸せも手に入りますよ。そういう幸せのギフトカタログみたいなものが、余裕がある時代には確かにありました。「こういうなりたい自分にもなれるし、こういう働き方ができてこういうものが手に入る。だから頑張ろう」と多くの人が着地点を見いだしていました。
でも、その余裕がいま、世界を見渡してもなくなっています。これまでの設問からは、人生の目標は見つかりにくい。何がしたいと言われても、何もしたくない、と思ってしまう人も多いでしょう。正直、僕だってそうです。
じゃあ今の時代に問うべき設問は何かというと、「なぜ生きるのか」「何と共にありたいか」なんじゃないでしょうか。それは一人ひとりが答えを出していくもので、他人の答えが一切参考になりません。
僕自身の場合は、いま何とともにありたいかというと、ちっとも面白くない答えで申し訳ないんですが、健康とともにありたい。だから最近はスマホをほとんど見なくなりました。目が疲れやすいので、この先のためにも目を無駄なことに使いたくないなと思うようになったんですよね。
できるだけ健康でいて、楽しい時間や幸せな時間をもっと自分なりに作っていきたい、と思うと、自分の中で必然的にルールができてきます。やらないことが明確になる、と言い換えてもいいかもしれません。生き方のルールは持つのだけど、絶対これを手に入れるために生きるとか、絶対こういう自分になるために生きる、という攻めの姿勢ではないのがポイントです。
新しい一年が始まったばかりなので、今年をどういう一年にしていきたいか、ぼんやりとしたタイムスケジュールを考えるのもいいかもしれません。時々友だちと会いたいなとか、そういうので構いません。「何とともにあるか」を決めていくと、きっと空虚ではなくなってくると思います。
いて座は奇想天外な発想ができる人たちだから、ちょっとファンタジーの力を借りるのもおすすめです。例えば「次生まれ変わるとしたら、どこの国の人になりたいか」考えてみて。答えが「ブラジルに生まれたい」だったら、じゃあ年中あったかくて、周りに音楽がある環境を作ろう、みたいに、どんなライフスタイルが自分に合うか、見えてくるかもしれません。
※AERA 2025年2月10日号