鴻上尚史さん(撮影/写真映像部・小山幸佑)
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 長男の自死に落ち込み、自分のことを許せていないと語る女性。自分のやってきたことはすべて悪かったと思い、自分は「毒親」だったのではないかと考え、心のバランスが取れていない状態だという。そんな女性に、鴻上尚史が伝えた「自分を責めることは心底意味がないこと」の真意とは。

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【相談246】

 自死した長男のことで落ち込んでいます。自分は精一杯やっていたつもりでしたが、なにが悪かったのかわからず、どうしたらよいのかわかりません。(年齢 性別不記載 ほなつ)

 鴻上さんこんにちは。

 ほがらか人生相談読ませていただいています。数年前に16歳の息子が自死しました。生きづらさを抱えていたのは知っていて、すこしでも良い時間が増えてほしいと寄り添ってきたつもりでしたが、その先に死を見ているとは思いもよらず、救うべきサポートを怠ったと思っています。悲しく苦しいですが自分の罪を見つめながら、どうすればよかったのか、また今後どのように生きたらよいのか模索しています。

 亡くなった直後は麻痺していて周りから見たら変わらず元気にしていました。下の子がいるので、その子の事を思って毎日過ごしています。生前、長男に時間や気持ちを使うことが多く、下の子には短く濃く接するしかできなかったので、長男亡きいま、下の子のことをやってあげたいのですが、心は長男のことで落ち込みすぎて、バランスが取れません。

 亡くなる前の数ヶ月、今思えば長男は思い詰めたようなどこか遠くへ行ってしまうような感じでしたが、相談できるような安心した環境を保てず、何も言えずに逝ってしまいました。

 多感な時に親に相談するのも苦しいかもしれませんが、死ぬほどの苦しみを言えない家庭であったこと、彼にとっての苦しみはなんだったのか、自分は毒親だったのだろうかそうならば、下の子にとってはそうあってはならないと思うのですが、何を変えたら良いのか、何が悪かったのか(すべてが悪かったと思っています)、どうしたらよいのかわかりません。

 そんなときに鴻上さんの人生相談を知り、応募させていただきました。

 毒親は自分のことを毒親だと知らない。自分で判断できる手立てがありましたら教えてください。

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