ようやく本格的な秋が到来した9月下旬。
プロ野球はレギュラーシーズン終盤を迎えていますが、ひと足早く、リーグ優勝を決めたのが広島東洋カープです。前回の優勝から25年が経つことから、広島市民の人々にとっては待ちわびた歓喜だったことでしょう。応援していたファンの皆さん、おめでとうございます!
常勝チームであれば優勝時ならではの盛り上がり方も慣れっこといったところでしょうが、25年ぶりというとファンならずとも広島関係者も戸惑いを隠せない様子……。今回は、そんな広島優勝に沸く仰天エピソードを紹介します。
広島の経済効果は331億円!?
四半世紀ぶりの優勝で大フィーバーとなっている広島。
さまざまなところで驚異的な数字として、その影響が表れています。スポーツのビッグイベントのたびに話題となるのがその「経済効果」。今回の広島優勝による地元の経済効果はなんと331億円にものぼるといわれています。
どんな項目が経済効果として挙げられるかというと、球場に来場したファンの消費額(チケット、グッズ、飲食代など)、広島の商業施設の売上、優勝セールによる売上、監督・選手のマスメディア出演による売上……と多岐に渡ります。
ちなみに、巨人や阪神が優勝した場合の経済効果は400億円を超えるといわれています。ただ、東京・大阪といった2大都市を中心とした経済効果であることを考えると、広島の331億円はかなりの影響力をもたらすといってよいでしょう。東京の人口が約1300万人であるのに対し、広島の人口は約280万人。人口の割合に対しての、この経済効果は今回のフィーバーを象徴する数字といえるでしょう。
驚異の瞬間視聴率71.0%
優勝までのマジック点灯後、広島戦のチケットは入手困難なプラチナチケットとなりました。
そうなるとテレビ観戦となるわけですが、連日広島戦の視聴率は驚異的な数字を叩き出していたのです。
広島が優勝を決めた9月10日の巨人×広島の試合、広島での平均視聴率はなんと60.3%! さらに瞬間最高視聴率は71.0%。土曜日のデーゲームという好条件であったとはいえ、テレビの視聴率が振るわないこの時代では考えにくい数字ではないでしょうか。
平均視聴率60.3%という驚くべき数字ですが、広島地区の番組では、歴代2位の数字だといいます。これを上まわる番組とは一体……。歴代1位は1986年10月12日、やはり広島がリーグ優勝を決めた試合、ヤクルト×広島で63.5%とのこと。 広島という土地に根づいた市民球団の理想型ともいえますね。
1991年が蘇る不思議なつながり
25年前というと、最近広島ファンになった人たちにとっては歴史の一ページといった出来事でしょうが、2016年と不思議なめぐり合わせがあるのです。
── 1991年、相撲界を代表する横綱・千代の富士が引退。
奇しくも、2016年7月に元横綱千代の富士である九重親方が死去というニュースがありました。
── さらには、あの国民的アイドルグループがデビューしたのは1991年。
ですが、今年いっぱいで解散を表明……。
といったように、まさにひとつの時代の流れを感じるような不思議なつながりがあるのです。
そして、25年前の広島優勝を知っている人であれば忘れられない出来事が心に刻まれていることでしょう。
── 「炎のストッパー」として活躍した津田恒実投手が脳腫瘍の病に倒れ、闘病を始めた年でもありました。
この年、7月中旬で首位・中日とのゲーム差は7.5。厳しいゲーム差であるときに、当時の山本浩二監督が津田投手の病名をメンバーに告げました。そして「津田を優勝旅行に連れていこう」とチームを鼓舞したといいます。奮起した広島ナインは見事にゲーム差をひっくり返し、大逆転での優勝を果たしたのです。
四半世紀という時をこえて優勝を果たした広島。
これからクライマックスシリーズを迎え、さらなる「神ってる」現象が起こるのか楽しみですね。