AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占い師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。
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Q:男子4歳、2歳の母親です。主人は朝から晩まで家におらず、休日も疲れていて基本ワンオペ育児。体調を崩して2回ほど救急車で運ばれました。仕事もしてみましたが両立が難しく断念。遠くに住んでいる親も心配で、引っ越したいと相談してみるも、主人は反対。義母とも気が合いません。今は寂しさがふつふつとわいています。とにかくこの現状を変えたい。これからどう生きていくべきでしょうか。(女性/専業主婦/34歳/かに座)
A:4歳と2歳のワンオペ育児って、心労がきついだろうし本当に大変だと思います。ご主人が助けてくれないのであれば、これはもう話し合いしかありません。
話し合いって実はすごく難しい。よくあるのが、話し合いに見えて話し合いじゃないケースです。「私はこれだけ困っている。あなたも一緒になって考えて」と相手に自分のモヤモヤを押しつけるだけでは、相手は協力してくれません。「それはあなたの問題だから」「俺だって頑張ってる」で終わります。
本当の話し合いとは何かというと、まず徹底的に自分一人で考えることから始まります。子どものことをどうするか、夫に何をしてほしいか、義母との付き合い方をどうしていきたいか。全部の穴埋めをする覚悟で考えていく。
それを報告する場が話し合いです。話し合いというより「こう決定されました」という報告会でいいと思います。
僕もこういう話し合いを身内としたことがあるんですが、徹底的に考えてきた人の迫力ってすごいです。「じゃあ考えとくね」「2人でゆっくり考えていこう」みたいな返事で逃がしちゃ絶対ダメです。
救急車で運ばれたことなどは重要なSOSですが、こういう事実があると余計に相手が心を閉ざす可能性もあります。自分も被害者であるように感じて、殻に閉じこもって「じゃあ自分が働かなくなってもいいのか」みたいなことを言い出すかもしれません。そうならないためにも、冷静にご自身の今のきつさや、どうなれば改善されるのか、紙に書いて話し合いノートを作成するのがいいと思います。
僕が相談者さんの立場なら、まずご主人の朝から晩まで1週間の全部の予定を出させます。どの時間に何をしているのかを可視化して、1分でも時間が余ったら、家族のほうに回してもらう。嫌がらせのようにご主人は感じるかもしれないけど、それは家族の命に直結する時間なんだという覚悟を伝えましょう。
家族を持つということは、全部の時間が共有時間になることです。たとえそれが仕事であっても、自分の都合だけですべての時間を勝手に使えるわけではないはずです。苦労とつらさがフィフティーフィフティーになった時に初めて、お互いの自由って生まれてくるものだと思います。
腹をくくってわがままになるしかありません。どんな人も、一生懸命生きていると誰かにとっての悪者にはなります。幸せは自分勝手なこと。それを覚悟しないと幸せは手に入らない気がします。
※AERA 2025年2月3日号