需要に応じて刻々と価格が変動する「ダイナミックプライシング」。さまざまなサービス分野で急速に広がっているが、消費者からは不満の声も。「固定価格」からの移行が進む過渡期のいま、企業側に求められる姿勢とは――。AERA 2025年1月27日号より。
【図表】こんなに高かったっけ?都内のホテル代平均価格は驚きの…
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「ビジネスホテルがダイナミックプライシングとかいって1泊3万」「ビジネスホテル一室5万円はさすがにダイナミックプライシングの行き着く先みたいな状況」「安心お宿カプセル 1泊17800円 ダイナミックプライシングが爆発しすぎ」
SNSには、インバウンドの増加と相まってホテルの宿泊料金が急騰している現状への不満が、「ダイナミックプライシング」とセットで発信されるケースが目立つ。同様の投稿は、プロ野球やJリーグ、ライブイベント、テーマパークなどの料金設定でも見られる。これらは需要に応じて価格を弾力的に変動させる「ダイナミックプライシング」(変動価格制)が、社会に広く浸透している実態の反映ともいえる。
「もう完全に富裕層ビジネスだなと思いました」
昨年末に子連れで休日に東京ディズニーランドを訪れた都内の40代の会社員女性はこう嘆いた。
ディズニーランドの大人の1日券(1デーパスポート)は1983年の開園当初は3900円だった。96年4月から2011年4月までは5千円台、16年4月に7千円台とジリジリ上昇。価格帯を一変させたのは21年3月に導入されたダイナミックプライシングだ。曜日や人出の予想などに応じてチケット代を変える制度導入に伴い、8200~8700円に。23年10月に改定された料金設定は7900~1万900円だ。
「価格幅だけを見ると単純な値上げとは言えないのかもしれませんが、支払った額は目をむくほど高かったという印象です。仕事や学校がある平日に出かけるのは無理なので相当の出費の覚悟が必要です」
こう振り返る女性は、出費以外の「負担」にも言及した。
「チケットや各種パスは効率的に無駄のないように気を張って次々予約していかないとロスしてしまう仕組みのため、デジタル弱者は絶対に行けません。もうヘトヘトでした」