1月23日、タレントの中居正広さんが芸能界引退を発表した。作家・北原みのりさんの連載「おんなの話はありがたい」。今回は、相次いで報じられる「性加害問題」について。
【写真】「評価を下げた」元フジテレビ女性アナウンサーはこの人
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一昨年末の松本人志さんから1カ月前の中居正広さんのスクープまで、この国は性加害問題で揺れ続けている。一連の問題で明らかになったのは、「芸能スキャンダル」というもの以上に、この国=男社会が何でどう連帯しているかという事実なのだと思う。
「男が男との絆を深めるために女を上納する」
フジテレビ側は当初、「うちの社員はそんなことに一切関わっていない」と、中居さんのトラブルとは無関係との姿勢だったけれど、結局第三者調査委員会を立ちあげることになった。その後の週刊誌報道からは「女子アナ」を接待に使っていたのではないかという疑惑は拭いきれていない。もしかしたら、“そういうこと”は、あけっぴろげに行われてきたというよりは、男たちの仕事の延長のように日常的な仕草だったのかもしれない。そしてそれはフジテレビに限ったことではない。日本全国隅々にまではりめぐらされている“スタイル”のようなものだとも言える。いわゆる「ホモソーシャル」というヤツだ。
男たちは、男という性で強く連帯する。女の体を徹底的に男どうしで搾取することで男たちはつながれる。そういう社会のあり方を「ホモソーシャル」とフェミニストは名付けてきた。私はそれを男根社会と言ってきたけれど、そういうことでしょう。一緒に風俗に行く、一緒にキャバクラに行く、女からの性的サービスを男どうし一緒に受けることで深まる絆というヤツだ。
そんなことがこの国では日常茶飯事のように“ある”。
たとえば先日(ほんとにひと月前のこと)、知人男性(40代)が地方に出張に行った時のこと。当然のようにキャバクラに誘われ、その後に風俗が待っていることも示唆されたという。あまりに自然な誘いに驚いて断ったが、断ることでしらけた雰囲気が伝わってきたという。