スティンソンさんと筆者が話している最中にも「自分も資金を寄付したいんだけど」と避難所に入ってきた男性がいた。白シャツと黒ズボンで正装したユダヤ系のツズビ・シャピロさんだ。3人の幼い男の子と一緒だ。
「赤十字、本当に素晴らしい活躍で感動したよ。寄付はクレジットカードでも払えるかな?」
シャピロさんは「大統領が代わるから何? 自分は政治に興味ないよ。ヒューマニティーに興味があるだけだ」と言う。
彼が来る少し前に、家が全焼して4人の幼い子どもを連れて避難所に入ってきた両親がいた。シャピロさんと同じような年頃の子どもを持つ家族が、簡易ベッドで寝る生活になるのだ。スティンソンさんは言う。
「われわれ赤十字の任務は、彼らが一日でも早く賃貸物件を見つけられるように援助すること。避難所はあくまで仮住まい。我々の究極のゴールはこの避難所から人がいなくなることだ」
彼が予算を止める前に
LAで最大規模の避難所では、ちょうど視察に来ていたロサンゼルス市議会のケイティー・ヤロスラブスキー議員がいた。
「あと数日でトランプ政権に代わりますが、FEMAの支援金は政権が代わっても規定通りに支払われるのでしょうか?」と、筆者が彼女に質問すると、
「政権が代わる前に、できる限り多くの人が申請手続きを完了できるよう急いでいるところ。彼が予算をストップしないことを望む。住民はFEMAの支援金が本当に必要。いま政治ゲームをしている余裕はない」
「トランプ陣営で重用されるイーロン・マスク氏は連邦政府の経費削減を担当するようですが、FEMAは予算削減されることなく存続しますか?」と聞くと、
「FEMAの存在意義はこういう大規模災害のため。バイデン政権が確約してくれたFEMAの財源に心から感謝している」と答えた。
「じゃあ、何もかも失ったLA住民はFEMAのキャッシュに頼れるんですね? 大丈夫ですね?」と聞くと、「I hope so... 」(そうであってほしい)という答えが返ってきた。