確約できないLA議員

 この言葉のチョイスにはっとした。筆者の取材歴では、これまで米政治家が「I hope so」と言うのを聞いたことは一度もない。もっと強い言葉で断言するのが政治家の常だ。特に、自分を議員に選出してくれた住民たちが人生最大の危機に直面している今ならばなおさらだろう。

 だが、連邦政府を牛耳る国のトップの大統領が交代するという時に、LA市のいち市議会議員の立場、しかも民主党の議員としては、なす術はほとんどない。こういう言い方しかできない、というのもわかるのだが。

 この原稿を書いている時点でも、筆者を含め、多くの住民の住まいが明日燃えないという保証は何もない。避難地域では武装した火事場泥棒がうようよし、避難命令が出ている地区などでは午後6時から翌朝6時まで外出禁止命令が出され、マシンガンを持つ軍人が戦車を従えて警備している。その横を消防車がサイレンを鳴らしてひっきりなしに駆け抜けていく。

 これから一体どうなるのか、多くの住民がまだまだ眠れぬ夜を過ごしている。

(在米ジャーナリスト 長野美穂)

※AERA 2025年1月27日号

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