個人が機関投資家に勝つ時代は来るのか　米国の研究が示すソーシャルメディアの活用法　崔真淑

1.取引量の増加

　記事公開後の30分間で、個人投資家の取引量は平均7.68%増加しました。多くの個人投資家が、公開された分析をもとに即座に取引を行っていることを示しています。

2.情報価値の向上

　記事公開後の個人投資家の取引行動は、5日後の株式リターンをより正確に予測しました。例えば、取引不均衡（買いと売りの差）が1標準偏差増加するごとに、リターンが0.159ポイント上昇することが確認されました（公開前の予測精度0.054ポイント減少と比較して約3倍の向上）。つまり、ここで公開された記事を参考にした投資をすることで、短期リターンは向上することが示されました。

3.質の高いレポートの影響

　また、寄稿者の学術的背景が強く、読者からのコメントが多い記事は、特に情報価値が高いことが示されています。つまり、中身の精査はもちろん必要ですが、読者からのいいね！の多い有識者を探すことも重要のようです。

情報を鵜呑みにしない

　このことから、ソーシャルメディアを効果的に活用するためのポイントを考えてみます。

1.信頼できる寄稿者を見つける

　寄稿者の実績を確認しましょう。過去の記事で高評価を得ている、またはコメント数が多い寄稿者の分析は、精度が高い可能性があります。

2.記事のトーンに注目する

　記事がポジティブか、ネガティブかを把握し、自分の投資方針に沿って活用しましょう。ただし、情報を鵜呑みにせず、複数の視点を組み合わせることが重要です。