「この道だけじゃない」と思えた
初めてのドラマ撮影で、越えられない壁を目の当たりにして、演技がうまくできなかった悔しさもあって、感情がぐちゃぐちゃで泣きながら帰って……どうやって家まで帰ったか覚えてないくらいでした。逃げ出したいほどしんどかったです。思い切って演技をしても、それが正解かどうかわからないというのがずっと尾を引いていて、正直、今でもわからない。ずっと苦しみながらこの仕事をやらないといけないんだな、と覚悟をした瞬間でもありました。
自分はまだ何も成し遂げていないのに、周りの友人たちが社会人として着々とキャリアアップしていく姿を見ると、悔しいし、うらやましかったです。でも、最終的には「建築の仕事にも戻れる」ということが救いになりました。自分の中で「この道だけじゃない」と思えたから、逆に折れずにここまで来られたかなと思います。
(藤井みさ)
※【後編】<1級建築士試験に合格した「田中道子」が“別居婚”でも結婚に踏み切った理由 「もしものときは養ってあげられる」>に続く