たむらけんじさん(撮影/中西正男)

リニューアルして売り上げは2倍

「いまさら戻ってきて何をするんだ」とか「もう、お前の戻る席は芸能界にはない」とか「失敗してもう一回芸人か」とか、それこそいろいろなことを言われてもいますけど、もともと芸人に戻る気は一切ないですから。そんな中途半端な思いで、大好きな仕事を離れないです。

そして、これもハッキリさせておきたいんですけど、アメリカでタレントとか俳優としてやりたいわけでもない。

なぜ大好きな芸人の仕事をやめたのか。あこがれてお笑いの世界に飛び込んだ10代の自分と同じ感覚で、50歳からアメリカに行ったんです。芸人でもなく、飲食でもなく、まだ知らない分野で「僕にしかできないこと」を見つけたい。それだけが事実です。なので、今もアメリカの家を残しているし、カラ家賃も払っています。

先は見えないけど、秋からメニューをリニューアルして売り上げは2倍くらいにはなっています。でも、これは最初だからこそのご祝儀相場でもある。なんとか3倍まで持っていって、落ち着いても2倍くらいで安定する。それくらいじゃないと話にならないし、日々頑張るしかありません。本当に。

1年半ほどですけど、アメリカにいて変わった部分も感じています。以前は何をするにしても、人の目がすごく気になっていました。だから電車にも乗れなかったし、ご飯を食べていても常に周囲を気にしていました。でも、アメリカでは僕のことを誰も知らない。すごくおおらかになれました。

逆に言うと、日本にいた頃は常にピリピリしていたんだと思います。張りつめていたんやろうなと思います。今は一回深呼吸すればどっしり構えていられる。どこで何をしていても、電車で指をさされても、何も思わなくなった。大きなアメリカにいておおらかにしてもらいました。

正直な話、ま、全部正直な話ばっかりなんですけど(笑)、自分だけの個人店やったら、すぐにつぶしていると思います。でも、そうはいかない。人の人生を背負ったのは自分ですから、背負った以上は責任を持つしかない。言葉にしたら単純な話ですけど、これが難しい。でも、でも、やるしかないですからね。ただただそう思っています。

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