政府の有識者会議は2021年の報告書で、皇族数の確保のために「女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持する」「旧宮家の男系男子が養子として皇族に復帰する」の2案を示した。
これを受けて昨年5月から与野党で協議がスタート。秋には衆参両院の議長が、女性皇族が結婚後も皇室に残る案について各党でおおむね共通認識が得られた、とする中間報告をまとめた。昨年12月には、衆院議長らが今年夏の参院選前までに結論を出す必要があるとの認識を示したと報じられたものの、先は見えない。
そもそも「女性宮家」の創設を視野にいれた議論が本格的にスタートしたのは11年、野田佳彦政権のときだ。当時の宮内庁の羽毛田信吾長官が野田首相に面会し、「皇族の減少が緊急性の高い課題」と進言。首相も「女性皇族が結婚年齢に近づいている」と会見で説明して議論が本格的にスタートしたが、10年以上が経っても具体的な「成果」はない状態だ。
「皇室はやせ細ってしまった」
皇室をめぐる議論が始まったときに、高校2年生で16歳だった佳子さまは30歳になり、小学4年生で8歳だった愛子さまは23歳の誕生日を迎えた。
皇室制度史や儀式に詳しい京都産業大の所功・名誉教授は、21年に開かれた「安定的な皇位継承のあり方を議論する政府の有識者会議」のヒアリングの場で、女性皇族の結婚後の身分の確保の重要性について意見を述べている。
「手をこまねいている間に、皇室はどんどんやせ細ってしまった」
と、所さんは現状を心配する。
「宮家の存続」と「結婚」をめぐっては、こんな話も聞こえてきていた。