『異端のススメ』が出版されたのは2013年12月。「いつやるか?今でしょ!」でブレーク中だった予備校講師の林修氏が衆院議員だった小池百合子氏にオファーして実現したという対談本だ。
 1965年、愛知県名古屋市生まれ。東大法学部を出て長銀(日本長期信用銀行)に就職するも、わずか5カ月で退社。その後は〈もうめちゃくちゃな生活を3年ほどしていました〉。〈株でも大失敗して〉という林氏。
 1952年、兵庫県芦屋市生まれ。英語で身を立てようと思っていたが、アポロ11号の月面着陸中継を見て同時通訳は無理だとあきらめ、〈高校生のときに、アラブに行こう、エジプトに行こう〉と決心。関西学院大学を中退してカイロ大学に進学。テレビ東京の経済番組キャスターから39歳で政治家に転身した小池氏。
「異端」といっても要は勝ち組同士の対談じゃんとはいえるけれども、先の都知事選への小池氏の出馬劇を考えると、なるほどねと思わされる点も多い。
〈勝てると思えば進む、負けると思ったらさっさと撤退する。私も、英語だけではダメだなと思ったので、アラビア語に行ってみたわけです〉。できたばかりの日本新党から初出馬したときの心境は〈誰かがやらなければならないなら、自分がやろう。よし、立ち上がろう、と決意しました。リスクを取ったのです〉。そして、もう一言。〈テレビ局の方には、「小池は飛行機事故で死んだものと思ってください」とお願いしました〉。
 女性の活躍についても持論を展開。〈日本は女子大を除くとアカデミズムの世界に女性のトップがいません〉〈女性議員を増やすことは政治の変化を促す最短の方法でもあります〉。しかし〈権利の主張を声高に訴えるのはあまり好きではないですね。「取りに行け」と思っているんですよ〉。
〈今どき、失敗しても命は取られることはありません〉という小池氏。何事にも強気の人生。自己啓発書として読まれたのだと思うけど、こういうリーダーについていくのは大変だなと思ったよ。

週刊朝日 2016年9月2日号

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