「都構想失敗と分裂が維新の歴史」
維新内部からも懸念の声が出ている。大阪以外から選出されている国会議員のB氏は、
「また分裂にならないか心配だ。都構想失敗と分裂が、維新の歴史ですから」
と暗い表情だ。
維新は2012年の衆院選で、東京都の石原慎太郎元知事らと組んで国政に進出し、一気に議席を54まで増やし、野党第2党に躍り出た。しかし、14年に橋下氏らを中心とする大阪組と石原氏の東京組で分裂。その後、江田憲司衆院議員らの「結いの党」と合流して「維新の党」として再出発するも、15年に内紛でまた分裂した。
維新の国会議員の秘書の経験もある選挙コンサルタントの藤川晋之介氏は、2度の分裂劇を見てきた経験から、こう話す。
「分裂の理由の根幹には大阪都構想があります。大阪選出の国会議員は国会でも『大阪都構想の質問をどんどんやれ』と主張し、それを求めてくる。しかし、国の予算や外交などの方針を決める国会で大阪都構想のことばかりはできません。そういう中で溝が生まれ、深くなり、分裂となっていった過去がある。今回、大阪都構想を再び打ち出そうとすることによって、大阪組と国会組が対立して分裂しないかと懸念する声が、すでに党内から出ています」
先のB議員によれば、大阪都構想の記者会見前後からすでに党内では、分裂の兆しが見えているという。
「維新は全体としては衆院選で惨敗でしたが、大阪ではすべての小選挙区で勝ったこともあって、大阪選出の国会議員たちは『やっぱり維新は大阪だ』『大阪ファースト』と増長するような声が出ています。省庁の担当者を呼んで、大阪都構想について『実現できるか』などと聞いたりしている。しかし、臨時国会では政治とカネの問題や『103万円の壁』が最重要な課題。『なんで今、大阪都構想だ。そんなことをやっている場合なのか』と不満に思っている大阪以外の議員がかなりいます。今後、大阪都構想の報道が多くなってくると、大阪選出の議員はさらに都構想に前のめりになり、冷ややかな大阪以外の議員との対立が先鋭化する可能性がある」