そして、頭脳労働でハイパフォーマンスを目指すビジネスパーソンにとって、徹夜が最悪の行動である具体的なリスクは、次の「3つの低下」に集約されます。

【1】集中力の低下
【2】記憶力の低下
【3】思考力の低下

 徹夜したことのある方は、察しがつくでしょう。いずれもビジネスでのパフォーマンスを下げる重大要因になりえます。この3高ならぬ「3低」と引き換えにしてまで、徹夜をしなければならない理由はないはずです。

 また、私たちの脳にとって、睡眠は単なる休息ではなく、経験や情報の整理と定着に大きく関与しています。パフォーマンスにこだわるビジネスパーソンであればなおさら、脳をハイレベルに保つための睡眠を犠牲にすることはできる限り避けるべきだと言えます。

●徹夜明けは「ビールを1~2本飲んだ状態」と同じ

 徹夜がどれほどビジネスパーソンにとって怖いものか、いろいろとデータがありますが、1つのわかりやすい例として、人は17時間以上起きていると血中アルコール濃度0.05%と同じレベルにまで作業能率が低下すると言われています。

 これはビール1~2本ほどを飲んだレベルで、酒気帯び運転で捕まってしまう数値です。また、徹夜明けは脈拍数が速くなり、体温も上がり、明らかに体の変化が訪れ、さらに理性が薄れてきます。仕事どころではありません。

●「どうしても徹夜」の時ダメージを最小化する4つのステップ

 長々と徹夜のデメリットを紹介しましたが、それでも、多忙なビジネスパーソンには、どうしても徹夜せざるをえない時があるでしょう。長いビジネス人生を、一度も徹夜せずに乗り切れというのもまた、現実的な話ではありません。その時の対処法は、拙著『一流の睡眠』に詳しく紹介していますが、ここではそのエッセンスを紹介します。具体的には、次の4つのステップを踏むことです。

(1)徹夜を決めた瞬間に翌日の予定を変更し、午前中を単純作業に充てる
(2)徹夜中に15~20分程度の仮眠をとる
(3)翌日、午前中の単純作業を終えたら、昼休みに仮眠をとる
(4)できる限り早めに仕事を終え、その夜は十分な睡眠をとる

【徹夜のダメージを最小化する4つのステップ】

(1)徹夜を決めた瞬間に翌日の予定を変更し、午前中を単純作業に充てる
(2)徹夜中に15~20分程度の仮眠をとる
(3)翌日、午前中の単純作業を終えたら、昼休みに仮眠をとる
(4)できる限り早めに仕事を終え、その夜は十分な睡眠をとる

 徹夜明けは、ほぼ確実にパフォーマンスが下がります。そうであるならば、「今日は徹夜になる」と覚悟した瞬間に間髪入れず翌日の予定を切り替えるのです。ここで割り切れず、思考力や記憶力や集中力が問われる業務を徹夜明けに組み込むと、徹夜のダメージはどんどん長引いていくことになり、パフォーマンスも上がりません。

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