返済期間を延ばすことにより、「団体信用生命保険」の加入期間が増えることも、超長期ローンのメリットだと、水野さんは言う。団体信用生命保険とは、住宅ローンの契約者が死亡または高度障害状態になった場合、住宅ローンの残高がゼロになる保険のこと。最近では金融機関の競争が加速しており、団体信用生命保険の保障内容が手厚くなっているという。

 

「がんや8大疾病に罹患した際にも、保障を受けられる保険が増えてきました。保険料は住宅ローンの金利に上乗せされる形で支払いますが、個別に生命保険に加入するよりおトクと考えられます」(水野さん)

返済プランのカギは「定年後の返済期間」

 50年にわたる超長期ローンは、人生100年時代といわれる現代においてもその大半をかけて返済することになる。それだけに、契約前には返済プランをしっかり計画したい。

 返済プランにおけるキーとなるのが、定年後の返済期間だ。30歳で契約、65歳で退職した場合、残りの返済期間は15年。退職金を繰り上げ返済にあてると、老後の資金繰りが厳しくなる。シニアスタッフなどとしての継続雇用やアルバイトで働き続けても、収入は現役時代より減少する。かつて老後2千万円問題が話題となった際は貯蓄の重要性が再認識されたが、ローン返済の負担が重ければ、課題はさらに深刻化する。

 近年は金融機関にFPが在籍するようになった。住宅ローンを契約する前には、返済を含めたライフプランについて積極的に相談するといいだろう。

(ライター・丸田鉄平)

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