
AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占い師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。
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Q:母が大病を患い、これから長い治療が始まります。検査をしていたのに病気の発見が遅れたやるせなさと、この先のことが不安で、毎日涙が出てきます。考えないように、楽しいことをしようと思っても、私だけが楽しくて申し訳ないな、と思ってしまいます。治療中のつらい姿を見るのも、先のことを頼まれることも、すべてがつらいです。どうすれば心を穏やかに保てるでしょうか。(女性/公務員/25歳/うお座)
A:まずお伝えしたいなと思ったのは、あなたはとても立派です、ということ。葛藤やとてつもなく大きな不安がありつつも、そういう心構えを持てる人に育ったということが素敵だし、あなたを育ててこられたお母様もきっと素敵な方なんだろうと思いました。
そして、僕自身の経験談ですが、僕自身はわりと早いうちに父親を亡くし、親戚のおじさんが父親代わりになってくれました。その親戚のおじさんのところでアルバイトをずっとしていたんですね。
すごく厳しい部分もあったけど、おじさんは僕が何をしていようが「お前なら大丈夫」と常に一人の大人として認めてくれました。それが本当にありがたかったんですよね。
僕は一つの持論として「何かを渡すために人は人と出会う」と考えています。親とか親代わりになる存在の場合は特に。だから、その人から教えてもらったことを自分が大人になってもちゃんと受け継いでいくという気持ちや決意、それだけが大事なことなんじゃないかと思うんです。
不安を消し去ることはできないし、毎日涙が出てくるのを止める必要もまったくありません。自分の目の前にいる大事な人から、今まで教えてもらったことを絶対に無駄にしないこと、自分の人生を通じてそれを実践していくことこそが、お世話になった人への恩返しだし、あなたはそういうことができる人だと思うんです。
この人から教えてもらったことを受け継いでいくぞ、という決意があると、それは自分の中の一つの大きな軸になってくれます。もちろん悲しいし不安なんだけど「ちゃんと私なりに楽しむということもやっていかなくちゃ」という気持ちもだんだん出てきてくれます。すぐではなくていいので、徐々にそういう気持ちを育てていってほしいです。
自分と愛する人との間で何らかの形で距離を作らなければいけないことは、うお座にとって、ものすごく試練になる気がします。というのは、うお座は「一心同体」ができる人たちだから。
自分が愛する人のためならどんな苦労もいとわない、みたいなこともうお座はできてしまうから、別々の方向に進んでいかなければいけない、となった時は人生の中でも最大級の試練になります。
離ればなれになることがあっても、自分がいちばん愛する人の生き様であったり、価値観や大事にしてきたものを受け継ぐという気持ちがあると、一心同体化したまま、別方向を向くことができるんじゃないかと思います。
※AERA 2024年12月23日号

