さらに、その1カ月後である9月22日には、工藤静香の「MUGO・ん…色っぽい」がこれまた初めて「ザ・ベストテン」で1位を獲得し、これによって、晴れて「アイドル四天王(中山美穂・南野陽子・浅香唯・工藤静香)」が名実ともに、女性アイドルシーンの新世代リーダーズと相成ったわけです。
そして翌89年には、Winkの快進撃も加わり、これをもって80年代、ひいては昭和のアイドルブームは終焉へと向かいました。
「ザ・ベストテン」「歌のトップテン」「夜のヒットスタジオ」といった生放送歌番組が軒並み終了し、アイドルたちの生業とも言える「テレビで歌う姿を見せる」機会はほぼ失われてしまいました。それでも、女優業やCM出演などと連動させて、90年代に入って以降も大ヒット曲を連発し続けていた80年代女性アイドルは、小泉今日子、工藤静香、そして中山美穂の3人だけだったように思います。
90年代初頭、いわゆる「平成初期」を思い出す時、数々のドラマ主題歌、ドリカム、槇原敬之、B‘z、ZARD、広瀬香美らとともに、私の中で鳴るのは、中山美穂の楽曲たちです。中でも、流行や音楽スタイルが大変化を遂げている最中だった94年にミリオンヒットを記録した「ただ泣きたくなるの」は、まさに中山美穂の底力の賜物だったと言えるでしょう。
出演するドラマや映画も軒並みヒットし、もはや「世間が中山美穂に抱く安定感や信頼感は、思考停止の域に入っているのでは?」と思うほどでした。
2000年代に入り、結婚、パリへの移住を経て、14年頃から再び芸能の表舞台に戻ってきた中山美穂さん。来年25年は、音楽ファンにとっても大事な大事な40周年のアニバーサリーイヤーとなるはずでした。