AERA 2024年12月16日号より

「K-POPはすでに成功したジャンルの一つで、音楽や振り付けのレベルは世界的に見ても大変優れています。国内ではK-POPにたけたアーティストが多く育っているし、新たな可能性があると思いました」

 そうして生まれたのが、バーチャルボーイグループPLAVEだった。

 イェジュン、ノア、バンビ、ウノ、ハミンの5人で構成され、韓国のウェブトゥーンから飛び出したようなルックスでファンを魅了する。5人はキャラクターたちが暮らす世界(カエルム)と地球(テラ)の間にある「アステルム」という空間で、テラのファンとコミュニケーションを取りながら活動している。

「新しい挑戦」の限界

 これまでにないバーチャルアイドルというジャンルに、壮大な世界観。ウィリアムさんは、PLAVEがデビューしたときのことをこう振り返る。

「当初は『バーチャルアイドルなんて』とネガティブに評価されることもありました。ただ、ファンとともに成長し、関係を育むなかで、既存のK-POPファンだけでなく、アニメやウェブトゥーンのファンの方たちにも応援していただけるようになりました」

 メンバーのノアもこの「新しい挑戦」の限界を考えたことがあるという。

「でも、バーチャルの限界がどこにあるのかは、まだ誰にもわかりません。いろいろなことを考えましたが、その限界を打ち破るには、『アーティストとしての実力をつける』ことがすべてだと気づいたんです。今は自分たちのやってきたことは間違いではなかったということを証明している過程だと考えています」

 自ら作詞や作曲、振り付けを手がけ、ライブ配信を通してファンと日々コミュニケーションをとる。そこで話した内容が後日楽曲に反映されることもあり、「コンテンツをともに作る」「新たな挑戦をともに歩む」ことも、ファンダム拡大につながっている。バンビは言う。

「今は、バーチャルアイドルはこれまで活躍してきたアイドルと大きく違わないという確信があります。僕たちは『最も遠くにいるかもしれないけれど、最も近い存在である』と思いながら活動しています」

(編集部・福井しほ)

AERA 2024年12月16日号より抜粋

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